きみと信号待ち

昔からよく聞く”開かずの踏み切り”に待ち時間表示の何かが付く、というニュースを見ました。以前であれば横断歩道でも踏み切りでも私にとって『信号待ち』というのは、ただどこかへ行く途中の信号で赤になったので止まり、青になるまで待つまでの数分でしかなかったのですけれど、もしかしたら信号待ちってなんだかドラマチックなものなんだかも解らないわと最近気がついたんでした。というのも外回りの多い現在の仕事を始めてから最近の日記でも何度か『信号待ち』をしている時の話を書いたりしていて、そういえば改めて信号待ちしているときに気を配っているといろんな人がいたり、いろんな事を考えたりするものだなあ、と思いました。

なんてことを信号待ちしながら考えていてふと左方向に目をやると、めっさ自分好みなメガネの男の人が電話しながら自転車でやってきて思わず5秒ほど見とれてしまいまして、そんでその人が私の隣に並んだわけですけれども、わー、わー、ちょう声もいいんだしかも関西弁だあ、えらいなあ車通り激しくないから赤信号でも渡っちゃう人だっているのにちゃんと青まで待ってるんだえらいなあ、と私の脳内全米が大絶賛の嵐なんてことが今日も今日とてあって、でも私は結婚もしてるし娘もいますし、なんせたぶんその人よりはるかに年上のはずだから、そんな人と信号待ちできただけでもじゅうぶん幸せなのですけれど、世の中にはこういうチャンスを逃さずに誰かと出会って恋とかしていく人がいるんだろうなあ、と青信号になって先に走り出したその男の人の背中を見送ったのでした。

だもんであなたの街の信号にも時間表示なんかついたら、今までメンドクサさやイライラを感じて待っていた人の中で、意外にその時間を大切に使ったり思ったりできるんだなあって事に気づく人が増えたりするんじゃないかしら。