みんなで仲良く!

TVの散歩番組なんかだと井の頭公園ていったら池の周辺しか撮影されないのでご存知でらっしゃらない方も居るかと思いますが、敷地内に文化園なる動物園と水生博物館なる水族館があるんです。その文化園内にはちょっとした遊園地がありまして、娘は中でも『50円入れると音楽なりながら揺れる乗り物』がいたくお気に入り。絵本で有名な『ぞうのはな子さん』も穏やかな日差しの中、戦渦をくぐりぬけた過去が幻のように右へ左へゆったり、ゆったりと揺れながらご存命だというのにそちらには全く目もくれず乗り物にとっとこと向かっていきます。これが脚の早いこと早いこと・・。追いかけながら私は私のお気に入りであるフクロウさんの姿に目をやりますと、今日も今日とて同じ場所に停まり、キョロッとした目で『解らない事があったらいつでも聞きにきなさい』というような佇まいでいらしておりました。


さて乗り物のりばにはバイクや馬車など数種類揃っているんですが、どういうわけか小さいお友達にはいつも救急車が大人気。たぶん今にも抜けそうな緩いハンドルが回しやすくてちょうど良いんでしょう。親としては『ウチん時にぶっ壊れませんように』と心で念じるばかりです。その救急車に少し大きな男の子と女の子が乗っていたのですけど、娘が近づいて言ったら『だめーー!!』と大声で怒鳴ってきました。ウチの娘がビビリつつ救急車をあきらめ隣の消防車に乗るなりまた『だめーー!!だめーー!!』と何度も大声で怒鳴ってきました。娘は乗り続けたというか萎縮してしまい、しまいには泣き出すしまつ。


みんなが乗っていいものなのになんで駄目なの?と聞きましたら、自分らが救急車に乗ってるから、消防車の出番じゃないから乗るな、と言うんです。そこへいくまでも結構まあまあ、と笑って過ごしてきたんですけど『お友達泣かせるほどあなた達が大声でダメって言って決められないの。そんな言い方しない。』ってさすがにこれはよくないと思い、冷静にお説教開始です。それでも懲りずに『だってダメなものは・・』と言い返してきたので『みんなで仲良く!!』と声を強めてかぶせてやりましたら、その勢いに乗せられたのか2人が『みんなで仲良く!』と復唱してきて私も『そう!』とか熱血なおさめ方をしてしまいました。勢いに乗っちゃうのはかわいかった。そのあと娘は楽しみにしていた消防車に乗れたのでした。


親が出てきてもこちらが強く言った理由をキチンと説明できるので、どっからでも出てこいやと高田延彦さんばりに反り返っていても一向にこの子達の親が来る気配が無い。だいぶ経ってからうちの娘と同い年くらいの子を連れたセレブな紺の帽子をかぶった奥さんがいらして、その子達を連れていきました。そしたら親の前ではちょう無口。というか抑え込んでる感じなので、なんかその子なりに難しい事情があるのかなとも思ったんですけど、それはそれこれはこれ。みんなのものはみんなで仲良く遊ぼうね。