あさくふかい

『そういうことだから、もう連絡こないと思う。』


どうりで毎年電話だかメールでいつも新年の挨拶をしてくるヤツが連絡してこないワケだわ、と納得してなにが便りが無い事はよい事だ、だとも思いました。友達にまた先立たれてしまった。さんざんいろいろ相談してきたり報告してきたくせに、最後の肝心な話は相談してこないんだからなあ。


当時その男子はものすごいメールっ子で、それに付き合いきれなくなった共通の女子友達の紹介で知り合ったのだけれど、そんな接点がなければまず知り合う事などありえないぐらいの境遇の子で、というのは世間で言う『元ほっぺちゃん*1』な人だったのです。待ち合わせにセカンドバッグ持ってきます。一緒に歩くと、とたんに道が歩きやすくなります。でも私にはオカマ言葉で話してくる、そんな人でした。たぶん、私みたいな世間一般にいう”普通”とされる子と知り合ったのが珍しかったんだと思うのですが、それこそ本当に”男女の垣根”を越えて、随分仲良くしていました。今の旦那さんが一時期やきもちを妬くほど仲がよかったのです。


私の友達付き合いで悪いところは『ひろくあさく、人によってふかく』というところで、この男子とはものすごい仲がいいのに、共通の友人とはしばらく疎遠になっていたため、なんというか私達の関係の深さをはかってもらえず、今回のような事があった時に詳しい話*2を聞かせてもらえず、まるで細い糸をぷつん、と切るように関係が経たれてしまう、というのがよくあります。


しかし10日前には子供のことで相談を受けているんです。たくさん悩みながら順調にいい親父してたっぽかったのに・・・と絶句している私に『まあ、子供がいても死ぬ人は死ぬから』と上から下にモノを言ってくるその共通の友人が、本当に目の前に居なくてよかったと思いました。きっと初めて人を殴るところでした。そのあと一番はじめの言葉に戻って『葬儀もすぐ行ける距離じゃないから、それなりに手え合わせてあげてて』と電話を切られてしまうのですけれど、なんつうか、あれほどの仲だったのに線香の一本あげてやれないのかあとやりきれません。なんだかデヴィ夫人の気持ちってこんなだったのかしら、とすら思います。


とはいえどんなにやりきれなくとも家庭に入っている今は、とことん相手のために悲しむ事もできなくて、そっとしておいてもらえなくて、ちょっと待ってよあなたたちとも思うこともあったりするのですが、こんな感じなのも私達らしいといえば、そうなのかなあ。

*1:ヒント:ほっぺに傷(ベタ設定)が由来(高田順次命名

*2:聞いてもしょうがないのですけれど